

この一点にとどまり、
 この一点とともに静かに滑ってゆくとき、
 頭を後ろにめぐらすか、
 さもなければ前方を見つめずにはいられない。
 
 暗闇の中で柱にぶつかった人間が、そのとたん
 相手に怪我をさせはしなかったかと心配する
 あのすまなそうな表情だ。
石とこれほど間近かに取組んで苦しんだ顔は、
もはやそれ自体が石である。
いわば見る機能の異常なる発展であると共に、
実は一つの性格の所有者でもある。


 The locked room of The Naked Sun
 (Is there a welcome at the door to which no one comes ?)